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ダムめぐり/ダムの仙人に逢いに行く/その1

ダムの仙人に逢いに行く(その1)

僕僕先生という本を読んだ。

自分のことを「ボク」とよぶ少女の姿をした仙人「僕僕」とニートな青年「王弁」が旅をする話なのだが、何をさておき、この仙人「僕僕」がひたすら可愛いのだ。読んでるうちに思わず顔がにやけてしまう。

で、この本と出合ったのが丁度DamMapsをリニューアルした直後というタイミングだった。変な所は無いかひたすらチェックしたりプログラムいじくったりしていたのだが、福島のダムの一覧を見ていてある一つのダムに目が止まった。東北電力が管理する発電用ダムの蓬莱ダムである。

蓬莱といえば仙人が住んでいるとされる場所だ。ずいぶん雅な名前がついてるな、それにしてもまた良いタイミングで…などと思いつつダム便覧を開いてみると、「飯野ダム、あるいは飯野堰堤とも呼ばれるようだ。Yahoo地図などには、飯野ダムとある。」と書かれている。

確かにダムサイトは二本松市と飯野町なんで「飯野ダム」という名称は理解できる。でも、なんでこれが別名になってるんだ?しかもWeb上の地図には軒並み別名の方が記載されてて通りがいいし。っていうか「蓬莱」というのは一体どこから来たんだ?うわ、なんだこれ、ひょっとして仙人に呼ばれた?うわー!

というわけで、「蓬莱」の真相を見つけに冬の福島へと向かったのでした。

福島の地図が手元に無いが、場所を確認するとそんなに込み入った場所にはなさそうなので、DamMapsの表示を印刷して済ます。カーナビもあるし。ちなみにA4横で印刷すると使いやすいです。画面右にある「地図上にあるダムの諸元表を開く」を開いて印刷すると地図上のダムのスペック一覧表も簡単に作成できて便利ですよ。とDamMaps使い方ワンポイント講座でした。

で、カーナビの目的地に設定する。この地図でも「飯野堰堤公園」と書かれている。こんなに別名が通用してるのはなぜなんだろう。あれか、仙力つかって身を隠してるのか、などと取り留めないことを考えつつ車は50号から東北道へとひたすら走る。三陸沖に発達中の低気圧があるとかで横風がやたら強い。途中眠気に襲われてPAで仮眠を取りつつ二本松ICを下りて、11時前に現地へとたどり着いた。朝早く出たのがあまり意味が無い。

ご覧の様に妙に派手な看板が入り口に立っていた。結構観光地なのかな、わざわざ「堰堤公園」なんて銘打っているくらいだからダムも近くでみられるかも、などと期待を胸に看板の間を通り抜ける。車1台が通れる位の道を進むとほどなくして右手に堰堤が姿を見せた。

日中戦争から太平洋戦争へと向かうさなかの1938年に竣工したとあって風格を感じる佇まいである。越流部の滑らかな曲線にゲートを支えるための塔の角張った感じが印象的で良い。駐車場から、川原に下りられるようになっていたので真正面から眺めてみた。

いや、左下の石を撮りたかったんじゃないんだ。写真は難しいです。で、このダム、日本最大のストーニーゲートとして、土木学会の「日本の近代土木遺産〜現存する重要な土木構造物2000選 」に選定されているとのこと。丁度右岸側2門が工事中で工事作業に当たっている方が天端を歩いてたので、比較になるかと写真をとってみた。

高さが5・6mで幅10m弱といったところか。大きさの基準の知識を持ち合わせてないので、どれくらい大きいのかというのを表現できないのが微妙に悔しい。この一番左側のゲートだけ他のゲートより大きかったりして構造が違うようである。

ちなみに、ストーニーゲートとはゲートと溝の間にはしご状に並んだローラを挟み込むことによって上下の開閉がスムーズにできるようにしたゲートである。ゲート自体にローラがついているローラゲートの性能が向上したため、比較して構造の複雑なストーニーゲートは現在では採用されない、と、これは土木用語事典の受け売りである。

というわけで、正面からのダムの眺めを味わったところで、今日の目的の「蓬莱」の謎を解くべく川原を上がりいよいよ堤体へ。そして、そこにあった物とは…。

その2に続く。